このブログでは、各種図書館で15年以上勤務経験のある図書館司書が、図書館で働きたい方や、すでに図書館で働いている方に向けてお役立てできる情報を発信していきます。
今回のテーマは「図書館で働く」です。いつか図書館で働いてみたい方、すぐにでも働きたい方が、求人を探す前に考えたい3つのことを掘り下げていきます。これからの参考にしてください。
チェックポイント
・本当に図書館で働きたいのか
・どのような図書館で働きたいのか
・どのような仕事をしたいのか
本当に図書館で働きたいのか
いきなり大きなテーマかもしれません。いわゆる志望動機にあたるものですので、どのような仕事に就くときでも初めに考えたい基本的なことですよね。ではなぜわざわざこのテーマを冒頭に掲げたのか。それには図書館で働くにあたっての切実な現実があります。
図書館の仕事は、決して楽ではありません!!
いきなり厳しい現実を突きつけてしまいました。私がそう考える理由はおもに以下です。
・待遇面
・体力面
・精神面
ひとつずつ取り上げます。
待遇面
図書館で働くことを考える際に、まず押さえておきたいことが待遇面の状況です。
このブログをお読みの方はすでにご存知かもしれません。日本の図書館業界は、決して待遇面が良いとは言えません。しっかりとした給与を得たい場合は、主に都道府県や市区町村といった自治体や、大学の正規職員としての道を目指す必要があります。しかし、人気職種でありながら募集人数は少ないですし、そのほとんどが年齢制限もあり、非常に狭き門です。
図書館で働く方法としてその他考えられることは、非正規として働くという選択肢です。
この方法でしたら、正規職員の募集よりも求人は多いです。というより、図書館司書の求人の大半は非正規で、図書館求人の8~9割程度が非正規というのが実態です。そのため、現在日本で図書館司書として働いている方の大半が非正規なのです。このことが、冒頭で触れた「図書館業界は決して待遇面が良いとは言えない」という状況をあらわしています。たとえフルタイムや月給制であってもなのです(この実態についての詳細は、今後の記事で取り上げたいと思います)。
ただ見方を変えると、待遇面を重視しない方やどうしても図書館で働きたいという方にとっては、図書館で働くことはそれほど難しいことではないとも言えるのです。まずはご自身で、どのような生活をしていきたいのか、その先に図書館で働くという選択肢があり得るのかをよく考えてみましょう!
体力面
「図書館司書は体力勝負です!」というと驚かれる方も多いでしょうか。特に都道府県立や市区町村立といった自治体の図書館(=以下「公共図書館」)では、体力が重要です。理由は、本という物質を扱う仕事だからです。図書館では肉体労働が意外と多いのです!このあたりをイメージできている方は、図書館司書として重宝されるかもしれません…!
もちろん、図書館の種類や規模によって肉体労働の割合は異なります。しかし、本という物質(しかも決して軽くない物質)を多く扱う仕事である以上、どの規模の図書館でも多少の肉体労働は避けられません。中央図書館などの大規模な図書館や、駅に近い利便性の高い図書館では、一日に何千人も来館します。図書館の仕事は、本の貸出や返却を担うことが大半ですので、一日中座って過ごすという図書館現場のほうが少ないと考えてください。
ただ、肉体労働はできるだけ避けたいという方もおられるでしょう。その気持ち、よくわかります!それでも図書館で働きたいなら、働きたい図書館の種類や規模をよく考えるということが大切になるのです。
精神面
これは特に公共図書館に当てはまることです。図書館には多様な方々が来館します。大学や学校図書館であれば、来館者は基本的に在学生となります。しかし公共図書館では、来館制限は基本的にありません。そのため、どのような方でも来館するのは自由であるのが特徴ともいえます。ということは、それだけ多様な対応が必要となるのです。
図書館での仕事は窓口(カウンター)業務がメインであるともいえます。先に「図書館司書は体力勝負です!」とお伝えしましたが、図書館で働くにあたって、そのほとんどが窓口業務と本を棚に戻したり並べたりする業務の両方を担うことになるのです。加えて、電話応対業務やバックヤード業務も大変多くあります。時にはクレームなど厳しい反応に対応することも発生します。
もちろんこの部分も、図書館の規模や種類あるいは立地によって異なります。ただ、図書館業務はサービス業ともいえるほど来館者対応が重要で、その分ストレスを感じる点も少ないといえます。
一方で、感謝される場面が多く、しかも対面で感謝される場面が多い仕事です。接客が好きであるとか、人の役に立ちたいという思いの強い方にとっては、非常にやりがいのある仕事であるともいえるのです。
私は図書館の中の人として、新規採用の面接官を担当することもあります。志望動機で多いのは以下です。
「本が好きだから」
「大好きな本に囲まれて仕事したい!」
本が好きであることは、もちろん志望動機として大切なことですが、このような志望動機を話される方に必ず伺う質問があります。
「本が好きなら、なぜ書店ではなく図書館を選ばれたのでしょうか?」
この質問をすることで、ご本人が図書館に抱く憧れの度合いやイメージのギャップを確認します。
どのような内容であれ、回答できる方は第一関門クリア!詰まった場合は、ご自身の中で図書館に対するイメージとの間にギャップが出てしまう可能性が高いと判断します。働いてから「思っていたのは違う…」と苦しんでしまうケースです。今回挙げた3つの視点から、自分はなぜ図書館で働きたいのか、もう一度よく考えてみましょう!
今回はまず、「本当に図書館で働きたいのか」を考えるきっかけをあげました。みなさんは本当に図書館で働きたいですか?このことをまずご自身でよく考えてみましょう!答えが見えてきたら、より具体的に図書館で働くことを考えていきましょう。次回は「どのような図書館で働きたいのか」を中心にあげていきます。